梅雨の時期は気分がどんよりしがちですが、あちこちできれいに咲いている紫陽花を見ると嬉しくなります。しかし降雨や高湿度で、様々な体調不良が出やすい時期でもあります。
梅雨時期に咲く紫陽花
気象病、天気痛(気象痛)について
天気の変化と病気の関係は昔から知られており、気象要素(気圧、温度、湿度、降水量など)から悪影響を受けるものを「気象病」と総称し、天気が崩れるときに慢性痛が増強する「天気痛」はその代表です1。雨降りや台風の時期などに、頭痛や首・肩こり、腰痛、膝痛が悪化するという患者さんをよく経験します。新潟弁で「古傷がやめてね~」(古傷が痛くてね~)もその一つ。
気圧変化による痛みの増強には、内耳の気圧感受メカニズムが関与しているという説1の他、気圧の低下が炎症組織の内圧を上昇させ、痛みを増強させるという仮説2もあります。
古傷が悪化
患者さんだけでなく、私も以前怪我した首や肩の痛み、腕のしびれが梅雨時からぶり返し、仕事にも支障があったので、消炎鎮痛剤を内服していました。
症状は少し軽くなりましたが、薬の効果が切れてくる時の痛みが強く感じられ、また副作用で胃の不快感もあり内服は継続できません。当院での診察を受け、カラー治療と漢方生薬を処方して頂きました。
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)で痛みやしびれが緩和
私が処方して頂いたのは「桂枝加朮附湯」。冷え症の関節痛や神経痛に対して用いられます。以前手指の関節痛・腫脹で困った時も服用し、症状が改善しました。消炎鎮痛剤のような即効性はありませんが、服用開始して2週間程経った頃、痛みやしびれが緩和して、仕事や日常生活に支障がなくなってきました。毎日1時間漢方薬を煎じる作業は、自分で自分の治療をしていると思えば面倒ではなく、しかも私にとっては美味しいと感じられる味なので継続したくなります。
自宅で漢方薬を煎じる
桂枝加朮附湯の構成生薬
桂枝加朮附湯は桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、蒼朮(そうじゅつ)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、附子(ぶし)の生薬から成ります。特に附子は消炎鎮痛作用の他、身体を温め、新陳代謝を促す効果があるので、この時期に服用していると発汗しやすくなり、夏本番に向けて暑熱順化にも有効です。冷房による冷え対策にもなります。
関節痛や神経痛に使用される治療薬は様々ありますが、私の様に西洋医学の薬が合わない、副作用で飲めないといった方は、漢方薬をお勧めします。
参考
- 佐藤純:気象変化と痛み.脊髄外科 29 (2) 153-156, 2015
- Malvina Hoxha et al : Meteoropathy: a review on the current state of knowledge. J Med Life. 16(6):837–841, 2023


