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ナッツ類アレルギー続報

くるみアレルギーで入院

先日知人から、4歳のお孫さんがくるみアレルギーを発症し、大変な思いをされたと聞きました。くるみの入ったパンを食べて間もなく口内を痛がり、腹痛・下痢を生じ救急外来を受診。くるみアレルギーによるアナフィラキシーと診断され、入院加療を要したそうです。知人は元保育士さんですが、色々調べる中で当院のブログ(→ナッツ類、特にくるみアレルギーが急増!!家庭内のホコリからくるみアレルゲンが!くるみアレルギーの増加に関与?)を見てくるみアレルギーが増えていることを知り、「昔はくるみを食べてもこんなことなかったよね」と。

注:アナフィラキシーは重篤な全身性の過敏反応であり、通常は急速に発現し、死に至ることもある。重症のアナフィラキシーは、致死的になり得る気道・呼吸・循環器症状により特徴づけられるが、典型的な皮膚症状や循環性ショックを伴わない場合もある。
(出典:日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン2022)

私は幼少期に、山でくるみ拾いの経験があります。すぐには食べられず、実をしばらく庭に放置し外側の緑色の部分(仮果と言うらしい)が柔らかくなってから中を取りだし、鍋でから煎りしてから硬い殻を金槌で割り、尖った棒で中身を掘り出してようやく食べられるという、何とも手間暇かかる食べ物でした。特別な日の笹寿司の具や、年に1回の山もち(→ブログ:3月9日)に食べる貴重なものだったのです。

それが、昨今ではくるみに限らず様々なナッツ類が気軽に食べられるようになり、消費量が増加しています。そしてナッツ類のアレルギーも増加しています。

ナッツ類アレルギーが食物アレルギーの原因2位に!!

概ね3年毎に実施されている、即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査において、原因食物の上位3品目は長らく1位鶏卵、2位牛乳、3位小麦でした。しかし令和3年度(2021年度)は、小麦に代わって3位がナッツ類(木の実類)となり、令和6年度(2024年度)はナッツ類が2位となりました。

即時型食物アレルギー原因

ナッツ類(木の実類)の内訳もグラフに示します。

ナッツ類アレルギーの内訳

出典:消費者庁 令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業
報告書 (グラフは加工して作成)

ナッツ類の中でも、くるみは全体の15.2%(前回7.6%)、カシューナッツは4.6%(前回2.9%)、マカダミアナッツは1.1%(前回0.7%)、ピスタチオは0.8%(前回0.4%)で、いずれも前回より増加しています。

アレルギー表示が変更予定~カシューナッツが表示義務、ピスタチオが推奨に~

ナッツ類アレルギーの増加を受けて消費者庁は、アレルギー表示を義務付ける食品(特定原材料)として、2025年度中にカシューナッツを新たに追加し、ピスタチオを表示を推奨する食品(特定原材料に準ずるもの)として追加すると発表しました。

加工食品のアレルギー表示の対象

<特定原材料(表示義務):8品目>
えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生→カシューナッツが追加予定

カシューナッツ

<特定原材料に準ずるもの(表示推奨):20品目>
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、 牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、 やまいも、りんご、ゼラチン
→カシューナッツが特定原材料に変更、ピスタチオが追加予定

ピスタチオ

尚くるみのアレルギー表示義務は、2025年3月までが経過措置期間でしたが、4月から完全移行となりました。

急増しているナッツ類アレルギーに関して、今後も注意が必要です。

参考

  1. 令和6年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書 (https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_241031_1.pdf
  2. 第7回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議(2025年1月21日) | 消費者庁
  3. 新井消費者庁長官記者会見要旨(2025年1月23日(木)) | 消費者庁

宮下

2025年5月28日

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