春を告げる花、連翹(レンギョウ)
新緑がまぶしい季節になってきましたが、4月前半は桜だけでなく、あちこちで黄色い連翹の花が咲いていました。この花を見ると思い浮かべるのは、普段の診療で扱っている漢方生薬の連翹です。生薬は花ではなく、果実を乾燥させたものを用います。
生薬の連翹
連翹には消炎、排膿、解毒といった薬効があり、化膿性疾患や吹き出物等に用いられます。
荊芥連翹湯について
連翹が配合されている漢方薬の一つに荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)があります。17種の生薬から成り、黄連(オウレン)、黄芩(オウゴン)、黄柏(オウバク)など苦みの強い生薬が入っていて、具沢山でとっても苦~い漢方薬です。適応疾患は、副鼻腔炎(蓄膿症)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきびなどです。
副鼻腔炎(蓄膿症)について
日本鼻科学会が2024年に作成した「鼻副鼻腔炎の手引き」1によると、鼻副鼻腔炎(注:従来から用いられてきた「副鼻腔炎」という病名は、鼻腔の炎症も伴っていることがほとんどであるため、この手引きから「鼻副鼻腔炎」という病名を採用)は、「鼻副鼻腔の炎症により、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽などの呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、嗅覚障害などを伴う疾患」と定義されています。治療は、抗菌薬やステロイド薬、気道粘液溶解薬などの薬物療法の他、手術療法などがあります。手引きには、慢性鼻副鼻腔炎に対する漢方薬として、荊芥連翹湯と辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)、葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)が挙げられています。
副鼻腔炎に対する荊芥連翹湯の処方経験
蓄膿による頭痛が改善した症例(成人)
蓄膿による頭痛を生じやすく、耳鼻科の内服薬(抗生剤、抗アレルギー薬、去痰剤)と併用して荊芥連翹湯を内服。蓄膿が後鼻漏として排膿されるようになり、頭痛が出にくくなりました。8か月後耳鼻科の内服薬を全て中止し、アレルギー体質の改善として荊芥連翹湯を継続していますが、花粉症の時期なども副鼻腔炎は悪化せず落ち着いています。
後鼻漏が改善した症例(成人)
寒暖差や風邪をきっかけに副鼻腔炎による後鼻漏を生じやすかった方ですが、耳鼻科の内服薬(抗生剤、抗アレルギー薬、去痰剤、鎮咳剤)と併用して荊芥連翹湯を内服して頂きました。3か月経過した頃、耳鼻科での検査で蓄膿は改善傾向と言われ、内服薬は漸減、中止。荊芥連翹湯を1年間内服し、中止してからも鼻症状は落ち着いています。
青空に向かって真っすぐ伸びた連翹を見かけました。連翹の花言葉に「希望」「期待」などがあるそうです。患者さんが当院での治療に希望を持って頂けるよう、日々診療していきたいと思います。
参考
- 鼻副鼻腔炎診療の手引き.日本鼻科学会誌 2024;63:1-85
