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家庭内のホコリからくるみアレルゲンが!くるみアレルギーの増加に関与?

近年増加しているくるみアレルギー。
→ナッツ類、特にくるみアレルギーが急増!!

殻付きくるみ
樹上の緑色のくるみの果実

先日、身近でこんなことがありました。

くるみを食べたことがないのにくるみアレルギー?

まだナッツ類を食べたことがない幼児が、ミックスナッツ(くるみ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ)を触った指をなめただけなのですが、その後30分位でまぶたが赤く腫れ、目をかゆがりました。後日小児科を受診し血液によるアレルギー検査を受けたところ、ナッツ類の中でくるみに対するアレルギー反応が陽性でした。くるみそのものを食べていなくても、知らない内に食材に混ざっていたくるみを摂取して感作されたか、あるいは他のルートで感作されていたのでしょうか。

注:アレルギーの原因となる物質(=抗原、アレルゲン)が体内に入ると異物として認識し、抗原特異的IgE抗体という免疫物質がつくられること

幼児はその後ナッツ類の経口負荷試験も受け、くるみの摂取でアレルギー症状が出ましたが軽微であったため、自宅で少量ずつ摂取して経過をみることになりました。

家庭内のホコリ中にくるみアレルゲンが存在

2023年6月に国立成育医療研究センターのアレルギーセンターが環境アレルゲンとして、家庭内のホコリからくるみアレルゲンの存在が判明したと報告しています。

報告には、
“本研究は、あくまでも家庭内のホコリ中にクルミアレルゲンが存在することを示すもので、生活環境にあるホコリの中のクルミアレルゲンとクルミアレルギー発症の因果関係を示すものではありません”
“本研究結果は近年日本で急増しているクルミアレルギーに対する重要な知見となります”
と記されています。

(引用:家庭内のホコリからクルミアレルゲンの存在が明らかに ~クルミアレルギーの子どもの寝具に多く、クルミアレルギー増加に関与の可能性を示す~ | 国立成育医療研究センター

食物アレルギー発症は経口感作より経皮感作?

従来食物アレルギーは、経口摂取した食物アレルゲンに対して体内で抗体が作られ(=経口感作)、再度同じ食物を食べて抗体が反応することで発症すると考えられてきました。しかし近年、皮膚から食物アレルゲンが侵入することで食物アレルギーが発症する経皮感作が注目されています。スキンケア等で経皮感作のリスクを軽減させることが、食物アレルギーの発症予防に重要だということが分かってきました。食物アレルギーと経皮感作の関係については、別の機会にお伝えしたいと思います。

宮下

2024年7月2日

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